「何してんの?」
「部活帰り、今日は市営道場借りて練習してた。思葉は?おっ、それってもしかして竹刀か?」
言いながら來世が玖皎に手を伸ばす。
思葉はその手を途中でぴしりと叩き落とした。
「違うわよ、これはうちで引き取った太刀。今まで青江さんのところで直してたのよ」
「太刀ってあれか?
騎馬戦で馬に乗りながらぶんぶん振り回す日本刀か?」
「それ以外に何があるのよ」
「太刀魚とか」
「座布団没収」
來世のギャグに被せるように言って、思葉はペダルを踏んだ。
遅れて來世も併走する。
「おまえが頼みに行ったんだ、珍しいな。
いつもなら満刀根のじいさんが青江さんのところに行くんだろ?」
「そうだよ。でもこの太刀は売り物じゃないし、所有者はあたしだから、あたしが行くべきでしょ」
「なるほどな〜……って、ええっ!
おまえが所有者!?じいさんじゃなくて!?」
頷きかけた來世が、聞き流しかけた言葉に過剰に驚く。
ブレーキがキキッと悲鳴をあげた。
思葉も一旦自転車を停めて振り返り、眉間にしわを寄せる。
「うるさい、そんな大声出さなくても聞こえてるから」
「おお、悪い……って、そうじゃねえよ。
その太刀の所有者がおまえってどういうことだよ」
「どうって、言葉のままだけど」



