なくしてから、気付く物がある。





そんな言葉は、人間界にしばらく素性を隠し住んでいた、鬼の男の人から聞いた。




人間は、そうゆうことがたくさんあるんだと。





…人間だけじゃなく、純血である自分もそうだった。





彼女を失って、やっと気付いたんだ。





だから、族長にも鬼の皆にも取り合って…やっと、許しを得た。





『彼女を鬼の村へ戻す』





という、許しを。









あの子の、花の咲くような笑顔が。


あの子の、美しい濃紺の髪が。


あの子の、優しい性格が。




あの子の、周りに決して迷惑をかけまいと、全て自分で解決しようとするところも。







ずっとずっと昔から知っているし、










大好きなんだ。




今宵は満月…人間界でも、彼女は月を見上げているだろうか。



もし、見てるなら、この声を届けてくれ。





ねえ、聞こえてますか。




………………霧花。