「…っ、届け!」





私は右手を影の方へ向けると叫ぶ。




私の手からは踊るように真っ赤な火が飛び出した。



これは妖力を火の形にしているだけだけどね。





…威力は、結構ある!






_ジュッ





影からそんな火が燃え移った音が聞こえた。




少し慌てた黒い影は私の背後に行き、姿を見えないようにした。





…けど、残念。




そっちに行ったら行ったで、律希が待ってるの!







急いで振り向くと、影の行く先にふと律希が現れた。

きっと術かなんかで姿を隠していたのだろう。






急いで進路を変えようとする影と、律希が日本刀を向けるのはほぼ同じだった。




「炎鳥舞歌!」







赤い光をまとったその日本刀は







『霧花、よく聞いて。

あなたはもしかしたらいつか、鬼斬り陰陽師に会うかもしれない。


鬼斬り陰陽師にはね、特に優れた力を持つ若者に受け継がれる力があるの』








あの日…




そう、『あの日』に聞いたのと、一緒で、


私が目にするのは3回目だった。