「………金鞠…」


「っ、ぐすっ、…

ん?霧花、どうしたの?そんな暗い顔して。

…あたしは早く強くならなきゃいけないから…

これからもよろしくね!」





…私と6歳ぐらいしか変わらなくても、子供は子供なんだ。


なのに…この子は強い。


とても…




「…そう、だね」


「……」



「ほらほらお兄さんも早く行こ!」




立ち尽くしている律希に向かってそう笑顔で言った金鞠。



「…ああ………」



_ドサッ




「…律希?

ちょ、大丈夫…?って、この傷…!」




律希の左腕…二の腕あたりが、制服を通して赤黒くなっていた。


やっぱり…無理に動くから!







「っ、治癒術は苦手だけど…やるしか……!」






私が両手を出して治癒術を唱えようとしたその瞬間、


後ろからポスっと肩を叩かれる。




「その必要はないよ。

僕、治癒術は得意だからね…」




………え?


私は反射的に後ろを振り向く。




「え…せ、んぱ…………」



「霧花、お疲れ様」




そう言ってにこやかに微笑んだ美形な方は…




「ええええええええええええええぇぇぇぇぇ!!!」




平井先輩、だったのです……





「……うるさ」








「よし、完了!」


「…毎度ありがと」


「いやいやあ、一ノ谷家のサポートをする…

それが僕ら平井家の役目だからね!」




……私はぼーぜんと2人のやりとりを見つめていた。


金鞠は疲れてしまったのか…土の上で正座状態の私の膝に寝転がっている。