ホワイトデー最終決戦



「お詫びになんでもおごってやるから、これからどこか行こう」

「そんなんじゃ足りない! あと十回はおごってもらうから!」

「分かった。分かった」


いいよ、何回でも。
だってそれって、何回でもデートできるってことだろ。


余裕で笑った俺に、和歌はますます真っ赤になって、突っかかってくる。


「もう、……もうっ。洋介のバカ」

「なんとでも言え。さ、今日は何処に行く?」


手を伸ばして彼女を待てば、上目遣いに睨んできつつも、彼女は手を伸ばしてきた。

指先が触れてビクつく和歌の手を、俺は勢い良く引っ張って繋いだ。


照れ隠しに空を見あげれば空には飛行機雲があって、それを和歌に指して見せれば、彼女はようやく笑った。



そう遠くない『いつか』に、空瓶がこの手に戻る日を、俺は待っている。






【Fin.】