それからの月日を、私は一体どうやって過ごしていたのかをあまり覚えていない。
少しだけ冷静になれた今思うと、相当ヤバかったんだろうと思う。あれからもう半年も経っているのに、それは驚くほど一瞬のようだった。
カイジさんがいなくなったなんて事を受け入れられるハズがなく、しばらくは探し回る日々が続いた。
だって、この屋敷のどこにでもカイジさんの気配の残像みたいなものが残っている。
玄関からくればいいのに、なぜかいつも入口にしていた二階の窓とか。コココンってノックされたドアとか。『おー、麗ちゃん』と向けられる陽気な声と笑顔とか。
ふたりで並んで立ったキッチンには当たり前にふたつのマグカップが並んでいるし、カイジさん用にと用意したドリップコーヒーだってまだ残っている。
カイジさんが用意してくれたふかふかのベッドに……夜中、いつも感じていたカイジさんの優しい手のひら。
全部……本当に全部残っていて、だからカイジさんだけがいないなんていうのがおかしくて、信じられなくて……信じたくなくて。必死に探した。
割と、しつこく探していたと思う。
私は自分を淡泊な人間だと思っていたけれど、どうやらそれは違ったらしい。
勝手に現れ勝手に私の生活に入り込み、勝手に色んな感情を教えて、その挙句勝手にいなくなった吸血鬼を一ヶ月以上探すほどには。



