一人の女官は恋をした【短編、諸説あり】



カランと木簡が響く音のあと、衝撃が彼女を襲った。




「み、見合い!?」




そう。

父は彼女に見合い話を持ち込んできたのだ。


この時代の見合い話は決定事項。


本人の了承など一切とらず、ただ勝手に内縁の話を進めてしまうことなど日常茶飯事なのだ。


もう、麗は結婚したも同然。


相手は彼女の父の治める村の有力な武将で、申し分ない家柄だという。



半年以内のうちに、麗は宮殿を去り結婚するようにとのことだった。



(そ、そんな…私の気持ちは…)



麗は今、徐福に恋心を抱いている。

叶うはずがないといえ、他のものと結婚するのは嫌だ。


(そっとしておいてくれれば、相手くらい自分で…)


そう思うものの、麗は今年で19歳。

もう遅いと言っていい年齢である。


妥当な時期なのかもしれない、とため息をついた。



諦めるしか、麗に道はないのだ。