恋縛少年

恋愛(その他)

寂兎/著
恋縛少年
作品番号
1153551
最終更新
2015/01/24
総文字数
532
ページ数
2ページ
ステータス
未完結
PV数
557
いいね数
0

「おにーちゃん、私の手袋みなかった?」

「ああ、あのぼろっちい軍手?」

「軍手じゃないよっあれは大切な・・・・」

「あーごめん目障りだったから捨てといたわ」


「・・そんな」

「だったらリビングに放置しとくなっつーのばーか」

「ひどい」


 憮然とした唇。

 恨めしそうな瞳。

 わなわなと微かに震える拳。

 全部、全部俺への嫌悪に、怒りに耐えているためだ。

 妹は、緑は普段温厚で大人しい気質で俺と正反対。

 こうして怒りをあらわにするのは珍しいことだ。

 あくまでも、他人からしたら、の話だが。

 このことでどれほど俺が影響を与えているかがわかる。

「昔はあんなに優しかったのに、どうして最近のおにーちゃんはそんなに冷たくなっちゃったの?」

「はっ『優しかった』兄貴?んなもんハナからいねぇよ。バカじゃねぇ。お前昔からそうだよな。頭ん中空っぽで、物事の表面ばっか見てさ。同級生が皆お前のこと『優等生』だとか『かわいい』とかチヤホヤしてんだろ。ああいうのいってるやつ皆裏でお前の悪口ばっか言ってんの。」

「やめて」

「俺もそうだよ。ちっせぇ頃からお前が目障りでしょーがなかった。『おにーちゃんおにーちゃん』てさ。仕方ねえから『優しい』おにーちゃんやってたんだよ」

「・・・・おにーちゃんなんて大ッ嫌い!!」

 緑はそう俺に浴びせると部屋から出て行った。

 言葉が頭の中で反響する。

 耳朶の甘い響きが消えてゆくのが名残惜しい。

「・・・・・・ああ、俺も、お前のことが『大っ嫌い』だよ・・・・・・」

 
 熱を持った掠れた声は部屋の冷たい空気の中に溶け込んでいった。

この作品の感想ノート

なんか、面白そう!
兄は大嫌いと言われるのが好きなのかな?
更新、待ってます!

nsさん
2022/04/10 13:31

この作品のひとこと感想

すべての感想数:3

この作品をシェア

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

pagetop