「掘さん、気を付けて帰ってね」


見送りにきた看護師がそう声をかける。


赤ちゃんの名前は掘みあ。


漢字はなんて書くんだろう。


睦人は、まだ彼女の名前の漢字を知らなかった。


とにかく二度と同じ過ちを……みあの呪いを引き起こさないようにしなければいけない。


睦人はそう思い、夫婦が赤ちゃんを連れて車に乗り込むのを見送った。


睦人は土の中の美彩に言っていない事があった。


人は何度でも転生する。


それは人生をやり直すという意味でもある。


この世で惨劇を目の当たりにした者ほど、人生をやり直したいと考える傾向にある。


しかしその場合、皮肉にも前の人生とそっくりな事を繰り返してしまう事が多かった。


美彩の場合もきっとそうなるだろうと、睦人は予感していた。


転生の時期を見る事が出来るようになった睦人は、それを確認するために今日ここへ来ていた。