ユキたちから距離のあるところまで来た時、ヒカリが振り払うように強い力であたしの腕を解放する。
「どうしたの……?」
「お前はいつまで経ってもユキを見ている!」
低く、唸るような声。
ぐしゃり。
かき混ぜられた髪。
目は、合わない。
「冬が終わって、春も夏も秋も過ぎて、ようやく俺はお前に近づけたと思っていたんだ。なのに、なんで……」
「ヒカ、リ……」
「俺を見ろよ!
俺だって〝ユキ〟なんだよ────!」
ひゅう、と自分が息を呑んだ音がやけに大きく聞こえた。
ヒカリは、あたしの中でヒカリでしかなかった。
だけど、彼は白雪────〝ユキ〟だ。
「俺は、結晶といると、自分の名前が嫌になる」
ぐいっと押しつけられたのは、チケット。
そのままヒカリは立ち去る。
最後に見た彼の瞳は、憎むように熱があって。
悲しむように凍えていて。
今にも泣き出しそうに、揺れていた。

