「ヒカリも去年見てたんだね」
「いや、俺はDVD。
この前見たら面白かったから、続編も見たいなって」
「そうなんだ。
っていうか、あたしが見てなかったらどうする気だったの?」
「お前が好きなことは知ってた」
へぇ、と言葉を返す。
……もしかして、もらったなんて嘘だったのな。
自惚れかもしれないけど、あたしが最近落ちこんだままだったから、とか。
そうだったら申し訳ないなぁ。
だけど、それと同時にヒカリの優しさを感じて、少し嬉しいと思う。
エレベーターから降りると、ずっと響いていたブーツのコツンという音がしなくなる。
映画館特有のカーペットのような床に衝撃が吸いこまれた。
建物の中は暖かくて、マフラーなんかは少し暑く感じるくらいだ。
少し緩める。
「ふっ」
「え、なに?」
「髪、ぐしゃぐしゃ」
息を吐くように笑ったヒカリ。
そのままあたしの頭に手を伸ばし、髪を梳いてくれる。
カーッと頬が熱くなった。
きっと今、あたしの顔は真っ赤だ。
なんて……なんて優しい表情なんだろう。
自然に緩んだといったその顔に、どうしたらいいかわからなくなる。

