琉聖さんは、少し言いにくそうに切り出す。


「こんなこと頼めた義理じゃないが、4月から七海のこと、よろしく頼む」


そして、あたしの前で頭を下げた。


「やめて下さいってば!」


あたしは慌てて、琉聖さんに頭を上げるように言う。


「あたし、本当に七海さんのこと恨んだりとかしてませんから!」


傷はもう分からないくらいにまでに治った。


痛みが疼くこともない。


傷の痛みももう忘れてしまった。



長く休んでいた七海さんは卒業することは出来ず、4月からもう一度3年生をやり直すことになったらしい。


音楽科ではなく、普通科への編入という形で。