「和希はどうなのっ!?」


「今手術中だ」


テルさんのシャツは、黒いくせに更に色濃く変化していて、それが和希からあふれ出た血ということが分かって。


それだけで傷の程度が伝わり、めまいがした。


「……そう……ですか……」


連れて行かれた手術室の前には。


「……凌牙……」


壁に背をつけた状態で、うなだれたまましゃがむ凌牙が居た。


あたしはそんな姿を、遠くから見ることしか出来ない。


とてもじゃないけど、今の凌牙に近寄ることなんて出来なかった。


あたしは和希の実の弟だけど、和希への想いは、凌牙に勝てるわけない……。