「なに……言ってんだよ……」


真っ赤に染まる手を、和希の頬に当てる凌牙。


「ずっと……兄貴に……守られ……きただろ……いつか……俺も……」


「バカやろう!何言ってやがんだっ!」


弱々しい和希の声に被さるように凌牙が言葉を浴びせた。


今まで聞いたこともないような悲痛な叫び声は、もう、あたしの息の音を止めそうな程。




「車用意できました!」


誰かが叫び、また人がバタバタと動く。


「凌牙、連れてくぞ!」


慌てたようにテルさんは言うけど、凌牙は和希から離れようとせず。