「あたしなんてっ……凌牙こそ、大丈夫?」


凌牙の過去は知らないことになってるけど、今はそんなの構っていられない。


呼吸や動悸の乱れ、意識がしっかりしているのか、胸に手を当てたり顔色をよく見て確認する。


「……情けねえな……」


「ううんっ……」


「総長の俺が……こんなんでっ……」


弱々しく声を吐く凌牙の体を、より一層強く抱きしめた。


ただ、無事だっただけでいい。


総長とかそんなの、あたしにはどうでもいい。


「仕方ないよっ……」


過去のトラウマが、こんなにまで凌牙を苦しめるほど深い傷だったことに、あたしは胸が苦しくてたまらなかった。