そう。


元々あたしは凌牙の趣味でもなんでもない。


そもそも人違いで。


凌牙は、アキみたいに美人でもあり、柚ちゃんみたいな可愛い子が好きなのだから……。



「やっと気づいたか」


重そうな扉が開くと、壱冴の声が聞こえてきた。


あれからどのくらい時間が経ったのか分からないけど、壱冴もあれからここへ来たんだ。


すると、幹部と思われる男たちまでもが姿勢を正し、この部屋の空気が一変した。


それほどまでに、壱冴がこのSPIRALという暴走族の中で"絶対"なのだと言うことがうかがえる。



卑劣な、悪の集団の……。


どうして壱冴が……?