「おかしなヤツ……」


そう笑った凌牙は、あたしの顔を覗き込んで。


ゆっくりと、その顔が近づいてきて……。




「好きだ……優月」


「……」


今だけは嘘をつかせて下さいと、神様に懺悔して。


これが本当に最後だと、その唇をゆっくり受け入れた。




凌牙が求めているのはあたしじゃない。


凌牙の"好き"は、本当は別の人に向けられるはずの言葉で。



……そう、わかっていても。



優月と呼ぶその声に。


凌牙が触れる温もりに。



涙が、止まらなかった。