『……隠す……?』



もう、ここにはいられない……。


あたしはとにかく、凌牙から逃げたかった。


これ以上、凌牙と一緒にここで暮らすわけにはいかない。


勘違いして、好きだと思い込ませて……。


……っ。


考えただけで突き刺してくる胸の痛みから逃れようと、深く息を吐いてから声を出す。




「……お願い……」



……だけど。



戻るところがないと承知で飛び出した双葉園。


ここを失ったら、あたしは行くところがない。