『構わねえよ』


決して寝起きとは思えない声。


しかも周りが少しうるさいことに、もしかしたら、壱冴はまだ双葉園に帰ってないのかもしれないと思った。


今日は、金曜だし……。



『なんだよ』



「……あたしを……どこかに隠して欲しいの……」



電話をかける相手は、壱冴じゃなくても良かったかのかもしれないけど。


それでも、誰でも良かったわけじゃない。


壱冴なら、あたし一人を隠してくれる場所くらい持っている気がして。


暴走族に入っていなくても、毎晩遅くまで過ごす場所がある壱冴なら……。