……まさか。
鳥肌の立つようなその一言に、一瞬時が止まる。
あたしを……覚えてた……って……。
「えっ……あたし、凌牙に会ってたの?ちょっ…それって……いつ?いつから凌牙はあたしのことわかってたの?」
先を急ぐあたしとは対照的に、凌牙は話すペースを変えない。
ゆっくりと、何かを懐かしむように言葉を紡いでいった。
「園に入っても心を閉ざしていた俺に、一生懸命笑顔で話しかけて来てくれた女の子がいた。
俺の隣でシャボン玉を吹きながら『嫌なことは、こうやって空へ弾け飛ばすと消えてなくなるんだ』って。
嘘だろって思いながらも、消したい思い出を一つずつシャボン玉に込めて吹くと、どうしてか本当に気持ちが楽になった気がした」



