「本郷凌牙って人、知ってるよね?」


面倒くさくなって、お姉ちゃんにとってはもっと面倒くさいだろう話を切り出した。


「……」



お姉ちゃんはあたしの様子を伺うようにしながら、ゆっくり首を縦に下す。


知ってて当然のことだけに、その反応にあたしも驚くこともなく。


「凌牙が、柳迅会へ養子に出されたときのことは覚えてるの?」


「……よく覚えてるわ。もう私は高校生だったし、そのときの園の状況はよく把握していたから」


……やっぱり。


思った通り、お姉ちゃんはそのころから、柳迅会が絡んでいたことを知っていたのだ。


高校生だからって言う理由でもないと思う。


お姉ちゃん、だからだ。