まさか、そんなわけっ……。




「優月ちゃん、何してんの?」



パタパタと足音が聞こえ、我に返ると、そこには旬と大翔が居た。


「か、和希は……?」


さっきまで目の前に居たはずの和希は姿を消していて。


「バイクごとねえから、帰ったっぽい」



……いつの間に?


だけど、とんでもないこと考えている今、和希が目の前にいなくて良かったとも思う。


きっと、動揺してまともに和希を直視出来なかったはずだから。



「アイツなら大丈夫だって」


「寒いから中入ろう?」



「……うん」



大翔と旬に挟まれながら本部に戻るあたしの胸中は。



凌牙に殴られたことを喜んでいる和希の横顔と。


和希が実の弟かもしれないという、あり得ない仮想で支配されていた。