『………もしもし?』


こんな時間にあたしからの電話が不思議なのか。


7コール目でようやく出た凌牙の声は、少し戸惑っているようだった。



あたしだって緊張してる。


メールのやり取りはしていたけど、電話なんてした記憶がない。


常に一緒に居て、その必要性がなかったから。



「あ……あの……」


『何かあったのか』


だけど次の瞬間、案ずるような声に変わり、あたしの中に安心感が広がった。


はじめて聞く電話越しの凌牙の低い声は、表情がない分、胸に迫るものがあって。