「ちょっと、待ってて下さい」


あたしは一旦部屋に戻り、すぐにテルさんの待つリビングへと戻った。


持ってきたものは携帯で、その中から取り出した情報を、紙にメモして……。


「はい」


それをテルさんに突き出した。


「なんだ」


「この間言いましたよね?」


「なにが」


「自分の感情に素直になるって」


「……」


「だから、これ」


お姉ちゃんとどうこうなってほしくないから若菜と、ということではなく。


今まで、人の為にしか生きて来なかったテルさんの為に……。



あたしは若菜の携帯番号を書いたメモを、テルさんの手に握らせていた。