そんなリビングを見ながら思う。


若菜がこの家に来ることは、もうないんだろうな……と。



「そういう自分は若菜ちゃんに会うんだろ?」


「……うん。そうだ、大翔も一緒に行く?」


「行くわけねーだろー」


更に大翔はふて腐れた。



今日、これからあたしは若菜に会いに行く。


メールでは会話したものの、ケンカ別れみたいなことをしたままだし、もう一度会おうとあたしから若菜に連絡を取ったのだ。


もちろん一人で出かけることは許されず、凌牙が用意した車で待ち合わせのカフェまで向かい、帰りもそこから車で帰ってくるという条件付きで。



「じゃあ……行ってきます」


「……うーーい」


意気消沈したような大翔の返事に心の中でごめんねと呟き、あたしは家を出た。