テルさんは、黙ったまま残りのお皿を全て手に取ると、再び食器棚へ向かう。



「……」


そんなの、あたしに言われたくないか……。


手にしたスポンジをギュッと握り、浮かび上がった泡を見つめながら生意気なことを言ったと後悔していると。



「……それも悪くないかもな」


呟くような声が聞こえ、顔を向ける。


「えっ……」


意外にも、あたしの言葉をうのみにしたテルさんは。


やっぱり普段は自分の感情を押し殺し、凌牙の為に忠誠を尽くすだけの男だと認めたかのように、小さく笑った。