「……俺は菜月さんが好きだった。ただ、俺の一方的な感情で、優月が想像しているような関係じゃない」


「……」


「堅気になれない俺が、菜月さんを好きになる資格なんて元々なかった……。

……あんなこと、もう二度としない……」


どこか切なそうに、苦しそうに言われ。


あたしはテルさんから目を背け、ただ黙ってうなずいた。



お姉ちゃんが、テルさんの背中に腕を回している光景が、今も目に焼き付いて離れないけど。


それ以上のことは聞けず、テルさんがそう言うなら、そうなんだと理解するしかなかった。




凌牙の苦悩に、テルさんの秘めた想い……。


影を抱えた男たちの告白は、あたしに受け止めきれない程の衝撃を残した。