「あの、若菜のことで少し……」


それだけで内容が分かったのか、テルさんは抑えていたドアを大きく開いた。


それは入れという意味だと思い、軽く頭を下げながら中へ入る。


「失礼します……」


黒で統一した凌牙の部屋と違い、白を基調とした内装。


その、あまりの真逆さに、一瞬驚く。


清潔感というより、どこか不気味さを感じるほどの白は。


一見黒い世界に見える自分の生きる場所を、自分なりに白だと、肯定しているかのようにさえ思える。



「なんだ」


早く話を始めろと言わんばかりのテルさんの声。


あたしをどこへも座らせず、自分も座らずに。


そんな姿勢に急かされるように、あたしは口を開いた。