向けられた顔は、さっきまでのだらけた感じではなく。


無駄に危機感のある形相を醸し出していて……。


「テルさんの家は本家に次ぐ場所だ。でけえ屋敷だぞ。んなとこに連れてってみろ。テルさんの用が済んだら、下の組員に回されるってオチもなくねえだろ」


テルさんの用……。


下の組員に……。


「えっ……テルさんの用…って」


まさか。


「男が女を家に連れ込む目的なんて一つだろうよ。たとえ、それがテルさんだとしてもな」


それって……。


「で、でも、テルさんはそんなことするような人には見えませんけど……」