「テルさんには、長年の想い人っていうのがいるらしいんだよ」


「そ!凌牙と一緒で!」


大翔の言葉に同調した旬に、キョトンとして首を振ると。



そこには凌牙がいて、一瞬目が合ったあと、逸らされた。


そのあと、わざと足音を立てるようにして凌牙も階段を上ってく。



照れたのか怒ったのか。


よく分からないけど、自分に重ねられてこの場から消えたくなったことは事実の様。




そっか……。


テルさんに、長年の想い人……。



でも。



「テルさんほどの人なら、相手を落とすのなんて簡単そうなのに……」


容姿を取っても、地位を取っても。