「……あ?」


ブレスレッドを腕に付け直した和希が、顔をあげる。


「あたしね、誰かを待つこととか、期待することなんてしないって決めてたの」


「……」


「悲しくなるだけだから……。でもね、いたの。あたしを待っててくれた人が」


凌牙は……あたしを忘れないでいてくれた。


「それが、凌牙……」


「……兄貴?」


「うん。あたし達、5歳の頃に双葉園で出会ってたんだって。あたしは覚えてないんだけど、凌牙は覚えててくれたの」


「……へー……。それで、アンタに……」


凌牙については、どんな話でも興味があるのか珍しく聞き入る和希。