その光を、追いかけて。





「そうよ、嫌いよ」



ほらね。



「過去の出来事から自分を守るために、近づいてきてくれる人を傷つけてるところ、大嫌い」

「っ、」






話の流れを変えるために、慌てて扉を開ける。



「梓ちゃん!」

「あら、仁葉?
来なくていいって言ったのに」

「でも、あの、放っておけなかったから」



優しいわねーと頬を撫でて、にこにこと笑ってくれた梓ちゃんにほっとする。

怒り、治めてくれた?



そっと伺うようにしていると、彼女の視線が坂元くんに戻された。

顔は、怖い。



ダメだ!

ちっとも治まってない!






「あたし、5歳の時に両親が離婚したの。
ふたりとも、あたしを引き取ることを拒否して、今は母方の祖父たちの家で暮らしているわ」

「っ!」



梓ちゃんがなんの話をしようとしているのかがわかった仁葉は袖をくいくいと引っ張る。

でも、彼女はいいのよ、と首を振った。