眠る坂元くんのそばに音を立てないよう椅子を持って来て、そっと座る。
髪をさらりと撫でてみた。
汗で頬に貼りついたそれを、絡まらないようにそっと梳く。
熱い息は苦しそうで、見ていて悲しくなる。
撫でていた髪の下。
頬と耳の境目に沿うように、1本の線。
────鋭い確かな傷跡。
体力測定の次の日に見かけたやつ。
あれ、見間違いじゃなかったんだ……。
跡が残るくらいだもん。
結構ひどい怪我だったんじゃないかな。
仁葉にも、小学生の頃の綺麗に治りきらなかった怪我とかはあるけど、こんな場所にはない。
膝とかならわかるけど、どうしてこんなところに怪我をしたのかな?
ゆっくりと、その跡を指先でなぞる。
その時、仁葉の手が坂元くんの手に掴まれた。
手加減のない、必死な強い力を感じて、ぎゅっと熱が広がる。

