梓ちゃんは優しいおばあさんと、厳しいおじいさんとの3人暮らし。
ふたりともとっても素敵な人で、仁葉も大好きなの。
この人たちが育てたから、梓ちゃんは仕草ひとつひとつがこんなにも綺麗なんだなぁと思うんだ。
まぁ、梓ちゃんには重度の暴走癖があるから、さすがのおふたりでもどうにもできなかったんだなぁとも思ってるんだけどね。
『仁葉さん、ありがとう────』
忘れられない、あの言葉。
『梓に優しさをくれて、ありがとう────』
仁葉が初めて光ちゃんとの約束を守れたと思った、あの日。
『仁葉、大好きよ』
梓ちゃんの笑顔に嬉しくなった、あの瞬間。
それが、どれだけ梓ちゃんにとって遠い道のりだったか、わかってしまったから。