「仁葉ごめんね。
あたしがお弁当を忘れたせいで学食に付き合わせちゃって……」
「んーん、大丈夫だよ!」
食堂から教室への帰り道。
申し訳なさそうに眉を下げた梓ちゃんに首を横に振って、笑いかける。
いつもお弁当派の仁葉たち。
今日は彼女が忘れちゃったから、仁葉はお弁当。
梓ちゃんは学食だったんだ。
高校生になってから1年と1ヶ月にして初めての学食。
思ったよりも食堂は広かった。
外に木の椅子やテーブルが置いてあったりもしたしね。
だけど、人口密度は予想通り、高かった。
みんな結構学食を利用してるんだねー。
あんなに用意されている席が足りてないんだもん。
「今度は仁葉もお弁当じゃなくて、学食にしてみようかな……。
梓ちゃん、付き合ってくれる?」
「もちろん!」
仁葉の好きなオムライスもあったわよ、と言われてピクリ。
思わず反応する。
「本当? 楽しみ!
さっそく帰ったらママに言わなきゃ!」
「あたしもおばあちゃんに言っておくわ」