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あれから坂元くんとふたりで話す機会はなく、そのまま次の日。
朝は声をかけない約束だし、さらに1限目は選択科目の発展国語。
彼と会話をすることはないまま教室移動を済ました。
彼の指にはなにか巻いてあるのは、朝に確認できたたけど……。
うーん、わかんない。
「仁葉、怪我なくてよかったわね」
「うん、梓ちゃんにも心配かけてごめんね」
「無事ならいいのよ」
むぎゅう、と抱き締められる。
いつもより力が入っていて、ちょっと苦しいけど、大人しくしておく。
それだけ心配かけちゃったってことだもんね。
「ね、坂元くんの株は上がった?」
「え?」
「いい人だよね、坂元くん」
梓ちゃんの腕の中。
見上げた仁葉は、梓ちゃんにどう思う? と首を傾げる。
「まぁ……よくやった、とは思うわよ?」
梓ちゃんらしい評価。
男子を素直に褒めるのが嫌なんだよね。
唇はきゅっと結ばれて、不服そう。
でも、この梓ちゃんがそんな風に言うだけでも十分すごい。

