「はい、これで冷やしてて」
氷を入れた袋が坂元くんに渡される。
大人しく受け取った彼は自分の指に当てた。
そっか、まずは冷やさないといけないよね。
昔から光ちゃんにしてもらう専門だったから、仁葉は手当てってあんまりわかんないんだ。
そう考えると、光ちゃんはとっても上手だったな。
仁葉もちゃんと見て、覚えておけばよかった。
そうしたら、今も先生のお手伝いができたかもしれないのに。
「さ、あなたはそろそろ戻りなさい」
「でも、」
「大丈夫、そんなにひどくないわ」
ほらね? と見せられた患部は、赤いけどそこまで腫れていない。
早めに冷やし始めたことが功を奏したみたい。
「じゃあ、お願いします」
ぺこり。
小さくお辞儀をする。
またあとでね、と坂元くんにぶんぶんと手を振った。

