「仁葉ちゃん、なんて?」
「もうすぐ運動会だって」
「じゃあ運動会が終わったら、ビデオでも借りて来てあげるわ」
ありがとうと返す。
仁葉の運動会を見に行けないなんて初めてだから、ビデオでも見れるなら嬉しい。
ひとつひとつの言葉を抱き締めるように、文字を読み進めていく。
『もっともっと元気になるといいね!』
『仁葉泣かなかったよ。我慢したの』
うん、……うん。
偉いなぁ。
運動会の練習で転けた膝小僧にはきっと絆創膏が貼ってあって。
砂っぽいハーフパンツ、潤んだ瞳。
だけど嬉しそうに、得意げに報告する仁葉が目に浮かぶ。
その光景をそばで見てあげられたら。
すごいねと頭を撫でてあげられたら。
────叶わない、ことだけど。

