「痛いよね、ごめんね」
「鈴宮、別に保健室とかいい。
平気だから」
「だめだよ!」
仁葉のせいで怪我をしたのに、平気だなんてそんなこと言わないで。
坂元くんのその優しさが、逆に辛いよ。
大丈夫なわけないのに、大丈夫って言う。
光ちゃんと一緒。
────光ちゃんの嫌いだったところと、一緒だよ。
「すみませーん」
ガラリ。
開けた扉の向こうの先生に声をかける。
「どうしたの?」
「ソフトボール投げで男子のボールがそれたのかなー。
指に当たっちゃったんです」
「あらー、突き指みたいになっちゃったのかもしれないわね。見せてくれる?」
座ってなにか作業をしていた先生が、ファイルを閉じて立ち上がる。
パタパタとスリッパの音をさせて、こちらに歩いて来た。
「いや、大したことないし、大丈夫です」
「だめだって!
坂元くんは見てもらわないと!」
うぅ、困ったな。
なんでここまで嫌がるんだろう。
どうしたって、坂元くんは保健室から出て行こうとする。

