3人が部屋を出て、わずかに静かになる病室。
短く息を吐き出した。
「光ちゃん……ごめんなさい……。
せっかくお友だちが来てくれてたのに」
「いいよ。気にしないで大丈夫」
それにどうせ、みんなが口にした〝また〟がくることは早々ないんだ。
もう入院してから結構な月日が流れた。
最初の頃ほど人は来ないし、今日だって少し気まずかった。
だから、いいんだ。
「でも、光ちゃんは嬉しかったでしょ?
クラスのこととか訊きたかったでしょ?」
「っ、」
息をわずかに詰めて、そっと緩める。
「なんで仁葉が泣きそうなの?」
「だ、だって、ぇ」
「ほら、おいで」
ベッドの端に上がった仁葉を抱き締める。
気にしなくていいんだよ。
距離が空いてしまったのも、3人が帰りたいと思っていたことも、仕方がないことだから。