「いっ、……」
たくない……?
え、あれ?
なに? なにが起きたの?
ぎゅうっときつく閉じていた瞳をそっと開ける。
その先には、
「坂元くん……⁈」
右手を押さえる彼の後ろ姿があった。
「っんのばか女!」
「ひゃっ」
「周り見ろよ!
こっちはソフトボール投げしてんだ!
危ないだろ!」
どうやら怒っている坂元くんが、飛んできたボールから仁葉を助けてくれたらしい。
「ごめん、ごめんね……」
震える声を絞り出す。
はぁ、と今まで聞いた中で1番重いため息。
申し訳なさで体が縮こまる。
すごく、びっくりした。
ぼーっと仁葉が歩いてたせいで、こんな風になって、怒らせる羽目になって。
仁葉はまた、坂元くんに迷惑をかけちゃったんだ。
心配して怒ってくれているんだとわかるからこそ、自分のばかさ加減に呆れる。

