そっと隣の輝くんを見上げる。



「ねぇ、……輝くん」

「ん?」

「頬は大丈夫?」



そっと伺うように尋ねた。



顔の傷のない左手側。

その頬にはなかなかな存在感を放つ青あざ。



ちょっと切れたみたいで、ヒリヒリもしているんだって。

すっごく痛そうなの。



「あー、誰かさんのせいでまだ痛いかなー」



嫌味っぽく口にして、輝くんが見下ろしたのは、



「あたし、謝らないわよ!」



しゃがんだまま輝くんを睨む……梓ちゃん。



そう。

輝くんの怪我の原因は梓ちゃんで。



ことの発端は数日前。

仁葉が輝くんと屋上で話をした日のことだったんだ。