いつもどおりの朝。
天気は暑くて息苦しいくらいの晴天。
9月に入ったというのにもくもくとした入道雲の空の下。
鞄を抱えて電車の扉にもたれていた仁葉は、最寄り駅に着いたところで人をかきわけホームに降り立った。
朝の大仕事を済ませてふぅ、と一呼吸。
気合を入れて、学校へと足を向ける。
────仁葉の秘密が輝くんたちにばれてから、3日が過ぎた。
今日は始業式。
久しぶりの登校日なんだ。
あれからなにかあったかというと、……全くなんにもない。
本当にね、仁葉からするとなんにもないの。
だって電話もメールも、気のせいだよ。
気のせいってことに、しておくんだよ。