「仁葉、あたしたち、」
「やめて、なにも聞きたくない」
ぎゅううと耳を両手で塞ぐ。
悲しいこと、辛いこと。
みんな聞こえないように。
なにもしなくたって、仁葉の中に忍びこんで出て行かないのに。
わざわざ受け入れようとなんてしないよ。
「仁葉は光ちゃんのおかげで笑っていられるの」
乾いた視界の中で、ふたりが唇を噛み締める。
「仁葉は、光ちゃんのおかげで今、生きてここにいるの」
周りが見えてないと、ばかにする?
どこまでも悲しいことだと同情する?
なんだっていい。
それでも、仁葉にとって大切なのは、守りたいのは、失いたくないのは。
────光ちゃんただひとり。

