本当はね、ずっと光の調子はよくなかったの。
腫瘍は脳にあって、どうしても手術できないところだったから薬で騙し騙しの毎日で。
仁葉ちゃんからの手紙を1日に何度も何度も読んで、だけど返事は数日に分けて少しずつ。
最後の方にはとうとう自分で書けなくなっていたわ。
本格的に調子を崩した時もね、あの子ばかだから。
仁葉ちゃん断ちをして、願かけみたいにしてたのよ。
会いたいと思ってなかったわけじゃないの。
ただ、いつも自分のことは後回しで、嫌になるくらい周りのことを気にしてばかりだったから。
「仁葉に心配かけたくない」なんて言って強がって。
あの子ったら、最後までいいお兄さんでいようとして。
本当に笑っちゃうくらい、ばかね。
……ごめんね。
ごめんなさい。
仁葉ちゃんにもひどいことしたわ。
────────こんな風になるなら、最後に仁葉ちゃんに会ってもらったらよかった。