「仁葉、ちゃんと傘さしてたの?
思ったより濡れてるよ」
「風がきつかったのが悪いんだよ!」
「まったく……」
仁葉の癖っ毛が湿気のせいでいつもよりくるんくるんだ。
変な方向に跳ねてて、嫌だなぁ。
光ちゃんの優しい手つきに思わず瞳を閉じながら、仁葉は唇を尖らせた。
「それで、どうしたの?」
「え?」
「なにかあったんでしょ?」
どきり、とする。
……そうなの。
本当は、隠したかったけど、悲しいことがあって。
少しでも心が癒される、光ちゃんのそばにいたくて。
わざわざこんな朝早くにお母さんを無理やり起こして、連れてきてもらったんだ。
お母さんは雨なのに! って怒ってたけどね。

