仁葉がみんなより子どもっぽいことくらい知ってるもん。

もう10歳なのに、泣き虫のままだし。



「それで泣いてるの?」

「それからね、仁葉のことドンッて押してきて、転んじゃったの」



それで座りこんでたのか、と光ちゃんが仁葉を軽々と持ち上げた。



「おぶってあげる。
家に帰って手当しようね」

「……うん」



光ちゃんの華奢なのに広い背中に体を預けきって。

ぽかぽか、ぬくぬく。

あったかい気持ち。



「その子に今度ちゃんとそんなこと言わないでって言ってごらん。
きっとわかってくれるから」

「うー……」

「ほら、そんな声出さない。
仁葉は笑顔が1番、可愛いよ。世界一!」



首に手を回す。

そのままきゅう、と力をこめた。



「本当に?」

「もちろん」

「えへへ。光ちゃん、大好き」

「僕も仁葉が大好きだよ」