その光を、追いかけて。









「んーっ、楽しかったねー」



夕方。

オレンジの光が電車の窓から射しこむ中、仁葉は満足げに微笑む。



あのあと、カラオケでモノマネをしながら歌ったり。

組み合わせを変えながらデュエットしたり。

輝くんが梓ちゃんに恐ろしいミックスジュースを飲まされたり。



カラオケの定番ネタもして、すごく満喫したんだ。



「声、かすれたな」

「だいぶ歌ったものね」



今日1日でふたりの仲はだいぶ縮まったみたい。



ふたりのデュエットの完成度はすごかった。

息ぴったりで、打ち合わせでもしてたの⁈ って言いたくなっちゃうくらいだったもん。



これ、もしかしてテレビに出れるんじゃない……?



「うーん、ふたりともすごいねぇ」



とはいえ、きっとふたりはそんなことには興味ないんだろうね。

等身大な、なんてことない幸せを大事にする人たちだから。



首を傾げるふたりになんでもないよーっと笑う。