「それで、輝くんはどうするの?」
「断ろうと、思ってる」
ひとつひとつの言葉を選びながら。
本当はまだ悩んでいるっていうことが伝わる話し方。
「陸上部に誘ってもらえて、嬉しいし、ありがたいけど……違うんだ」
「違う?」
「俺にとっての陸上部の仲間は、陽介さんや渉さんたちだから」
ああ、うん。
そうだよね。
完全に忘れられたわけじゃない。
大切だった人たちを、大切なまま。
唯一無二の存在としておきたいんだよね。
その気持ち、仁葉にもよくわかるよ。
「輝くんが、そうしたいと思うなら、それでいいと思うよ。
藤原くんもきっとそんなことじゃ怒ったりしないし!」

