その光を、追いかけて。









知らなかった事実がここでまたひとつ発覚。

まぁ、ふたりのことだから、そんな気はしてたけどね。



「ふたりとも……歌、上手だね……」



マイクを持った輝くんと、曲を入れていた梓ちゃんがそう? と首を傾げる。

自覚がないなんてっ。



ほのかに暗い、反響が大きなカラオケ特有の部屋の中。

テーブルにうつ伏せる。



「仁葉と違ってふたりとも、声すごく綺麗だよーっ」



梓ちゃんは女の人の曲。

輝くんは男の人の曲。

どっちもかっこいい曲調を歌いこなしている。



「仁葉は可愛い曲が得意じゃない」

「えー、そんなに上手くないもん」



顔を上げてぷくっと頬を膨らまし、ストローをかき回す。

薄くなっちゃうのにうっかり入れてしまった氷のカラカラと回る音がする。